六本木アカデミーヒルズ

2012年7月、ヒッグス粒子と見られる新粒子の発見が報告されました。このニュースは瞬く間に世界を駆けめぐり、日本でも大きな話題となりました。 ヒッグス粒子を発見したのは、ジュネーブの素粒子物理学の研究所「CERN」にある、Large Hadron Collider (LHC) という加速器を用いた実験グループです。全周が約27キロメートルと、山手線のサイズに相当する巨大な加速器と呼ばれる装置を用い、3,000人以上の研究者やスタッフの努力の結果、とうとう発見に至ったのです。 ヒッグス粒子のような極微の素粒子の世界と、壮大な宇宙は深く関係しています。素粒子の研究は、ビッグバンのすぐ後の宇宙初期の姿と、その後の宇宙の姿を理解するために必須です。ヒッグス粒子は様々な素粒子の質量の起源となる粒子です。この発見を契機に、素粒子物理学は革命期を迎えたと言っても良いでしょう。 本セミナーでは、素粒子を理解してきた歴史や最先端の研究、大型の基礎科学実験の意義や派生技術、経済効果など幅広い話題を、素粒子物理学実験を専門とする東京大学大学院理学系研究科・教授の駒宮幸男氏に分かりやすくお話しいただきます。特に、我が国が有力なホスト国の候補となっている、次世代加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の概要についてもその全貌をご紹介します。